(1) ウイルス感染や気道感染が喘息のリスクファクターとして大変重要である。特に乳幼児の場合、ライノウイルス感染が喘息の悪化に密接に関係している。
(2) アレルギー疾患の増加は、衛生環境の向上により乳幼児期における細菌への暴露や感染の減少が関与している事が想定されており、BCG等のワクチンによるアレルギー性疾患発生の予防可能性を研究中である。
(3) スギ花粉症の有症率は約20%で、発症年齢の低下が進行中である。
(4) 喘息の症状を患者が過小に自己評価している。この為、医師の指示を守らなかったりして不十分な治療になり、その結果喘息の悪化や喘息死を引き起こす可能性を患者が自分でつくっている。喘息死に至った20歳以下の患者の生前重症度は、軽症,中等度,重症とも1/3ずつとほぼ同じ割合である。軽症だからと言って過小評価すべきではない。
(5) 吸入β2刺激薬(気管支拡張剤)の単独使用は、気道の過敏性をかえって亢進させる可能性があるので避けるべきである。
(6) フルタイドのような粉末の吸入ステロイドを上手に吸入するには、ネイルタッピング(爪でトントンと軽くたたく)をしながら吸入すると薬の残存量が少なくなり効果的に吸入出来る。
(7) 成人のアトピー性皮膚炎治療に使われて効果を挙げているタクロリムス(プロトピック)が、今年中には2~15歳のアトピー性皮膚炎用新治療薬として適用が拡大される見込みである。
(8) その他
・ 小児の中でも乳幼児は別扱いをする必要があると言う考えが広まってきている。
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